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2021/09/29  10月オークション出品作品 岸田劉生「冬日小品」
10月オークション出品作品 岸田劉生「冬日小品」

2021年10月7日のオークションにて出品されるLOT081岸田劉生「冬日小品」は、旧森村義行蔵、松方三郎蔵の来歴をもち1938年に開催された「岸田劉生十周忌回顧展」への出品歴の記録があります。
劉生の晩年である昭和4年の細部を記した「劉生の死(日動出版部刊1975年)」によると満州・大連から引き揚げ、没地となる山口県徳山逗留の1929年11月29日~12月20日の期間に油彩画3点を制作しています。
この3点のうち、「徳山風景」と「柿とミカン」は図録掲載があります。しかし最後の1点、柿・ザボン・ザクロを描いた作品は、徳山の地で完成した唯一の油絵とされていますが図版の掲載がなく、上記文献のみに記録が残っており、以降所在不明とされていました。

〈劉生が徳山で最初に描いた「ザボン・柿・ザクロ」は翌日の十二月五日に完成した。これが徳山で完成した唯一の油彩だが、惜しいことにその行方はわからない。〉ー岩田礼(1975)『劉生の死』日動出版部p101

加えて岩城次郎氏著「徳山市における岸田劉生」という小論では、劉生と徳山での制作に際し終始そばについていた前田米蔵(麦二)による記述。そしてサイン・タイトルを実際に施した箇所まで明細に記されていて、この点でも本作品との一致点が見受けられます。

〈ザボンに柿とざくろを描いた8号の静物が徳山で完成した唯一の油絵で・・・上述の果物を描いた上部向かって右よりに冬日小品劉生と黒色で筆太に二字ずつ三行に記してある。〉ー岩城次郎(1971)『神奈川県美術風土記』神奈川県立近代美術館p519

今回出品される「冬日小品」は、十周忌記念展目録記載の年記(1928年)を考慮し 1928-29年作としましたが、前出の29年作である柿・ザボン・ザクロを描いた油彩画と記録上複数の一致点が見受けられる興味深い作品となっております。


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